こんにちは!院長の岩坪です。
現在、高校野球部のトレーナーとしてトレーニング指導やケアを行なっておりますが、現場に行くとたいてい肩や肘、腰に痛みを抱えた選手がいます。先日も腱板損傷(いわゆる野球肩と呼ばれるもの)のケアをしてきました。
どんな競技においてもケガは起こりうるものですが、その中で正しい知識があるかないかでその後の選手生命にも大きく関わってくることがあります。
今日は野球のケガの中でも、特にジュニア期に多い『野球肘』について詳しくまとめていきます。
野球肘とは
野球肘とは、野球などの投球動作によって肘に繰り返し負担がかかることで起こる障害の総称です。特に成長期の子どもは骨や軟骨が未成熟なため、繰り返されるストレスにより損傷を受けやすくなっています。
ボールを投げる際には肘に大きなストレスがかかりますが、その繰り返しによって肘の内側・外側・後方の骨や軟骨、靭帯、腱などに損傷が起こることで発症します。
肘下がり・手投げ・体の開きが早い・全身の柔軟性の低下などの不適切な投球フォーム、過度な投球数、適切な休養の不足、柔軟性や筋力の低下もリスクを高める要因となっています。
そして、野球肘には色々な種類があり、症状や部位によってそれぞれ治療法も異なります。放置すると将来的に投球が困難になるケースもあるため、早期発見と適切な治療・予防が非常に重要です。
ジュニア期に多い野球肘の症状
上腕骨内側上顆障害(リトルリーグ肘)
投球動作等の繰り返しによって過度な牽引ストレスがかかり、肘の内側の骨の出っ張り部分(内側上顆)の骨端軟骨に炎症や痛みを引き起こします。野球肘の中でもジュニア期の代表的な障害です。
投球制限を行うことで症状は改善されますが、投球フォーム・肩肘周りの筋力や柔軟性などの根本的な問題点を改善しない限り再発しやすく、当院では細かくヒアリングした上で改善策を提案しています。
上腕骨内側上顆剥離
投球動作等の繰り返しによる牽引ストレスで、内側上顆の成長軟骨や骨が剥がれる裂離骨折です。
症状の程度にもよりますが、1ヶ月程度は投球禁止の安静期間を設け、徐々に投球制限をかけながらリハビリを行なっていきます。当院では骨癒合期間を約40%も短縮できることが実証されているLIPUS(超音波骨折治療器)を導入しており、提携しているスポーツ整形外科と併院しながら治療を受けていただけます。
離断性骨軟骨炎(上腕骨小頭障害)
小学校高学年から中学生で発症することが多く、野球肘で最も重症になる障害の一つです。
投球動作時の外反ストレス(肘を外側に広げようとする力)が繰り返されることにより、肘の外側にある骨同士がぶつかって骨や軟骨が損傷します。進行するまで痛みがほとんどないため発見が遅れやすく、痛みが出た時には重症化していることがほとんどです。発見が遅れると保存治療が難しくなり、手術をしても肘の可動域の制限や変形が残ってしまうこともあります。
野球肘は早期発見が重要
野球肘の予防は肘に過度な負担をかけないことはもちろん、日頃のケアやストレッチ、適切に休養を取ることが重要です。また、痛みが出たとしても初期段階であれば保存療法で改善が見込めることが多く、投球制限やリハビリによって再発も予防できます。
当院はスポーツ障害の早期発見・早期予防を目的に活動している『播磨メディカルチェック研究会』の野球肘検診にもエコー班で参加しており、今まで数多くの症例を診てきました。100人ほど検診すると、残念ながら必ず離断性骨軟骨炎が2、3人程度、上腕骨内側上顆剥離は10人程度、リトルリーグ肘は全体の2、3割ほど発見されています。この数字を見ても、こういった活動は大きな意味があると感じています。
当院でも、成長期の子どもを対象に野球肘検診を行なっております(要予約)。痛みや違和感の有無に関わらず、自身の体に目を向けることは今後の選手生命を考えても大切なことなので、気になった方はぜひお気軽にご相談ください。
そして、痛みや違和感のある方は、絶対に無理に投げ続けず、早めに当院までご相談ください。
